「うわー、これはヤバくね?」


保健の先生が戻ってくると、あたし達は四人一緒に保健室を出た。


「やだな、こんな嵐みたいな中帰るの…」



ハルとユリが廊下から空を見上げてそんな言葉を交わしている。


本当…やだな…

ギュッと拳を握りしめ、靴を履いた。


「大丈夫だって、俺がいるから」


そしたら涼が隣でそう言いながら同じように靴を履く。



「なっ?」


そして大好きな笑顔をあたしに向けた。


うん、と頷くとこっちを振り向きながらユリとハルがニヤニヤ笑っている。



「なっ、何?」

「ふふっ、べっつにー。ね、ハル」

「おう、早速お熱いなぁとか別に思ってないぞ!なっ、ユリ」


明らかにニヤつくふたりに、何だか顔が熱くなった。


恥ずかしくてスッと視線を落とすと、グラウンドでは大粒の雨が跳ね返っていた。


土砂降りの雨。

黒い雲。


時折聞こえてくる、不気味な雷の音。

そして、あちこちでピカピカ光る空。

今もまだ少しだけ怖い。


だけど…


「みのり、行くぞ」


向けられた涼の笑顔が、そんな不安を拭い去ってくれるから。


「うん!」


きっともう大丈夫。

怖くない、涼と一緒なら。