「ねぇ、みのり」

「ん?」

「あのさ」


グラウンドを見つめたまま、アリサちゃんがそう言って話し始める。



「隼人とうまくいってる?」

「えっ…あぁ、うん。いってる…と思う」

「そっか。…でもさ、何か隼人、最近元気ないんだよね」

「えっ?」

「学校ではいつも元気だよ?みのりといる時も、多分いつも元気に笑ってると思う」

「うん…」

「でもさ…たまに家の前とか近くで会うといつもため息ばっかついてて。全然笑ってなくて…あいつ」


アリサちゃんの言葉に何故だか胸がキュッと締め付けられていく。


「あんなあいつ見たの初めてでさ…何か、ごめん。言わずにいられなくて。ごめん」



アリサちゃんはそう言うと、少し黙り込んで。

だけど言いにくそうに、また口を開く。



「私がこんなこと言うのは間違ってるって分かってるんだけど。…隼人のこと好きじゃないなら…早いことフッてあげてくれないかな」


そしてまた、ごめんねと謝った。



「違うならいいの。みのりも好きで付き合ってるなら全然いいの。ただ……もしそうだとしたら、どうせ傷つくなら浅いうちの方がいいと思うんだ」


どうしてだろう。

何で言えないんだろう。


そんなことないよ、好きで付き合ってるんだからって。


どうして答えることができないんだろう。