幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜




あの日、あたしは涼とふたりで自転車に乗ってここに来ていた。

水遊びをしたり、石投げをしたり。

岩場で変な虫を見つけて触ってみたり。


そして疲れたら、こんな風に川辺に座って足をつけながらぼーっとしたり。


ただひたすら遊んでいたような気がする。


だけど、持ってきた水筒の中身が空っぽになった頃、空の色が変わっていたことに気がついた。


「雨降りそうだし帰ろうか!」


そして涼にそう言われて。

だけど、まだまだ私は遊びたくて。



「もうちょっとだけ!もうちょっと遊んだら帰ろう」


早く帰ろうとする涼をそう言って引き止めた。


だけどそれから10分もかからないうちに雨が降り出した。

それも、もの凄い勢いで。


土砂降り、っていうのかな。

バケツをひっくり返したみたいな強い雨が、痛いくらいに一気に空から降り注いできた。