ため息の原因はよく分からない。


でも、何だか俺はイライラしていた。


だけどそのイライラの原因もまた分からなくて。

モヤモヤばかりがどんどん心ん中に募っていく。



「ねぇ…涼くん」

「何」

「何って…何か…怒ってるの?」



ハル達と別れた交差点。

ふたりきりになってすぐ、いきなり岡崎にそんなことを聞かれた。



「別に怒ってないけど」

「本当に?」

「あぁ」

「本当に本当?」

「だから怒ってないって」

「…本当に?」



確認するように何度も同じことを聞いてくる岡崎。



「何回聞くんだよ、怒ってないって言ってんだろ!」


そして俺は…気がついたらそんな大声を張り上げていた。