そして、その時。
涼の携帯の音が、夜道に響いて。
ポケットから取り出す様子を見ていると、画面を見つめたまま涼はジッとそれを見ていた。
しばらくすると、音は一度途切れた。
だけど再び鳴り続ける携帯。
直感で、岡崎さんからだと感じた。
「いいよ、出ても」
「えっ?」
「黙ってるし、大丈夫」
「あぁ…うん」
少し戸惑った顔をした涼は、鳴り続ける携帯を見つめながら、それをゆっくりと耳元へ運ぶ。
「もしもし」
耳に入ってくる涼の声。
聞かないようにしようと思いながらも、どこかで耳を澄ませている自分もいて。
「うん。今帰り。うん、久しぶりに会う親戚もたくさん来てたから」
そしてその言葉を聞いた瞬間、スーッと目が覚めて行くような感覚に襲われた。
「法事だからな…まぁ。うん」
法事。
涼は今日、岡崎さんにそう言ってたんだ。
そうだよね、言うわけないよね。
あたしと野球を観にいくなんて。
涼はウソをついてたんだ。
彼女にウソをついて…



