「すっげー混んでたなぁ」
地元の駅に降り立つと、涼がそう言いながらあたしの前を歩き出した。
「うん…ギューギューだったね」
時間は止まってはくれない。
涼とふたりだけでいられる時間は、本当にあとわずかになってしまった。
駅前の駐輪場へ向かい自転車に乗ると、たまらない寂しさでいっぱいになりながら、ゆっくりとペダルを漕ぎだした。
「楽しかったか?今日」
そして走り出してすぐ。
隣を走る涼があたしにそんなことを聞いた。
「うん!超楽しかったよ!」
笑顔でそう答えると、涼はそっか、と小さくつぶやいて。
「じゃあ…また行こうな?」
優しい声でそう言った。
また…?
「…うん。そうだね」
涼の言葉が嬉しかった。
ウソでもいい。
また行こうって言ってくれたことが、たまらなく嬉しかった。
だけど嬉しいはずなのに…
岡崎さんのことが頭によぎって。
そうなると、現実に引き戻されていくような気がした。



