「人いっぱいだね」
「だな〜」
「3番ゲートってどのあたりなんだろう?」
電車を降りてからは、何とか平常心を取り戻した。
今日はもう、余計なことは考えないって決めたから…
「あっちかな?いや、あっちかな?」
「もう涼、しっかりしてよー、看板に矢印出てるじゃん」
だから球場に着いてからは、いつも通りのあたしでいられた。
試合が始まってからも、涼と一緒に声援を送ってみたり、タオルを振り回してみたり。
「あははっ、すごいね!こんなとこまでボール飛んで来るんだね」
ファウルボールがすぐそばに飛んできた時は、何だか楽しくなってケラケラ笑っていた。
「油断してると危ないんだぞ?頭に直撃して死んだ奴いるし」
「えっ……」
だけど涼の言った言葉にビックリして一瞬固まると。
「あははっ、うそうそ。冗談だって」
今度は涼がお腹を抱えてケラケラ笑いだした。
何だウソか…って…
「バカ!ボール当たって死んだらどうしようって本気でビビったじゃん!」
「お前口開いたままだったぞ?」
「もうっ!マジでムカつく」
言いながら涼の脇腹にパンチを入れようとした。
「あははっ、ごめんって、怒んなよ」
だけど…
涼にその手を掴まれて。
一瞬…あたし達の手は繋がっていた。



