「なぁ、みのり」
ドアの向こうの移り変わる景色。
それをぼんやりと眺めていると、涼が後ろからあたしの名前を呼んだ。
「んー?」
あたしは振り向かずに景色を見つめたまま、そう返事をした。
すると、ふわっと触れてくる感覚。
突然そんな感覚を頭のてっぺんで感じた。
「やっぱチビだな」
揺れ動く電車と、変わっていく外の景色。
それから…小さな涼の声と、頭に乗った大きな手。
「うるさい…」
切ない胸の痛みを我慢しながら、あたしは涼にそう言った。
「俺、また背伸びたかも」
だけど聞こえてくる涼の声に、あたしは思わずキュッと目を閉じた。
何か…泣きそうだったんだ。
こんなに近くにいるのに…涼は遠くて。
気を抜いたら…涙が出てきそうだった。



