久しぶりのふたりきりの時間なのに、うまく言葉が出て来ない。
話したいことはたくさんあったはずなのに…考えれば考えるほど、空回りしそうで怖かった。
「あ!電車来たんじゃね?」
「本当だ!走ろ!」
駅に着き改札を抜けてホームに向かっていると、ちょうど電車が到着しようとしていた。
「セーフ!」
「ギリギリだったね」
そして、閉まりかけた電車のドアを一気にすり抜けたあたし達は。
「ははっ、なかなか早かったじゃんみのり」
「ふふっ、当たり前でしょ、あたし足速いし」
久しぶりに、目を合わせて笑っていた。
「あ、あそこ空いてるぞ。お前座れよ」
「えっ?」
だけどそう言われ、涼の指差した先にスーッと視線を動かしていく。
すると、一人分くらいのスペースが空いた席を見つけた。
「いいよ、立ってる」
あたしはそう言って、電車のドアにもたれかかった。
「何でだよ、次の乗り換えまで20分はあるぞ?大丈夫か?」
「大丈夫だってば」
「そっか」
だって、このままの方が涼の近くにいられるもんーーー。
なんてね。
絶対言えるわけないけど。
混み合うドア付近にいると、涼のことをすぐそばで感じられるから…このままでいたいと思ったんだ。



