「サッカー楽しかった?」
気まずい空気のままみのり家に着くと、玄関から出て来たみのりはそう言いながら俺たちの前に現れた。
「あぁ…うん。楽しかったぞ!なぁ、ユリ!」
「うん…」
明らかに低いユリのテンション。
みのりは不思議そうにそんなユリの姿を見つめて。
そしてその視線が俺へとゆっくりと動くと、なんだか言いにくそうな顔で口を開いた。
「…涼は?」
聞かれた瞬間、変な汗が出てきそうだった。
どう言えば、何て言えば1番いいんだろうと頭の中をフル回転させた。
どうやってごまかそう。
どうやって気付かれないようにしよう。
そればっかりがグルグル頭の中に回る。
だけど…
「駅前でふたりとは別れた。用があんのかは知らないけど…元々約束してたみたいだったから」
俺はそう言ってみのりに答えた。
隠そうと思えば隠すことができた。
どうにかごまかすこともできたはずだった。
でも、何で隠さなきゃなんないんだって思った。
みのりにはちゃんと本当のことを伝えた方がいいような気がしたんだ。



