「つーかさ、俺ずっと思ってたんだけど。岡崎って絶対涼のこと好きだよな?」

「えっ?……分かんない」

「マジで?明らかに好きっぽいだろ」

「…知らないよそんなこと」


ユリは前を向いたまま、つぶやくようにそう答えた。



「ごめん」



何で謝ってんのかも分かんないけど。

静かな空気に耐えられなくて、気付いたら俺はユリにそう言っていた。


そしたらユリは何も言わず黙りこんでいて。

シーンとした空気のまま自転車が走る小さな音だけが聞こえてくるだけになった。


だけど、しばらくすると。


「やっぱり…一緒に連れて帰って来たら良かった」


ユリが突然口を開いて。


「どうしよう…ふたりに何かあったら」


そう言いながら、キキーッと突然ブレーキをかけた。