「ったく…」


隣からはボソッと呟く涼の声が聞こえてきたけど、そんなのお構いなし。



「お願いしまーす!」

「はーい!はい、チーズ!」


三度目のシャッター音が聞こえると、あたしはすぐに女の人に駆け寄り、携帯を受け取った。



「あの、撮りますよ、あたしも」


そして、画像をチェックするよりも先に二人にそう声をかけた。



「ありがとう、お願いします」


すると、ニコッと笑ってあたしにカメラを渡した二人は、桜の木の下でそっと手を繋いだ。


その瞬間、いいなぁって思った。

何がいいのかとか、よく分からなかったけど、自然と手を繋いだ二人の姿がなんだか羨ましく思えたのかもしれない。


「撮りますよー!はい、チーズ!」



写真を撮り終えたあたしに、二人は笑顔で「ありがとう」と言ってくれて。


あたしからカメラを受け取ると、桜並木の道をゆっくりと歩いていく。


そしてそんな二人の後ろ姿を見ていると、また自然と手と手が繋がっていた。