「涼も撮ってあげるよ」
「いいって俺は」
「いいってば、撮ってあげるから♪ほらっ!」
「だから俺はいいって」
「はいはい」
乗り気じゃない涼の背中を無理矢理押して、桜の木の下に立たせたあたし。
そして涼から少し距離を開けると、ポケットから携帯を取り出してカメラを起動させた。
「いい感じじゃーん♪」
「撮るなら早く撮れよ」
「もうっ、うるさいなぁ!分かってますー。じゃ、撮るよー?はい、チーズ」
カシャッ、というシャッター音と共に、携帯の画面には静止した涼の姿が映った。
「いいじゃん、キレーだよ!あたしの方が撮るのうまくない?」
「どれ?見せて」
涼はそう言うとあたしから携帯をさっと奪って。
「まぁ、みのりと違って元がいいからな、綺麗に写って当然だろ」
そう言ってあたしを見下ろしながら笑った。



