「じゃ、いきますか」
駐輪場に着くと、自転車にまたがったあたし達は、ハルの声でゆっくりとペダルを漕ぎだしていく。
「片道20分って結構な運動になるよね〜」
「夏とかすげ〜暑そうじゃね?」
地元が同じで帰る方向も同じ。
帰りはしばらくみんなで一緒に帰ろうってことを決めていたから、四人揃ってなんだかんだと話しながらあたし達はゆっくり自転車を走らせて進んでいた。
「じゃあまた明日ね!」
「じゃあなー!」
「うん、バイバイ!」
「また明日なー!」
だけど地元の一番大きな交差点に着くと、ユリは右、ハルは左、あたしと涼は直進。
それぞれの家路へと別れ、走りだしていく。
「おい、みのり、行くぞ?」
そして交差点の信号がいつの間にか赤から青に変わり、先に走りだしていく涼。
「あっ!ちょっと待ってよ涼〜!」
少し開いた距離を埋めるように、あたしは急いでペダルを漕いだ。



