ーバタンッッ‼︎‼︎‼︎‼︎

ーガチャンッッ‼︎‼︎‼︎‼︎


家に着くなり力任せに玄関のドアを閉め乱暴に鍵をかける。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

呼吸は乱れ額にはうっすら汗をかいていた。


呼吸を整えるために深呼吸をする。


…少し落ち着いたかも。


「…………」


ところで…。

さっきのは一体何だったのー⁈‼︎‼︎‼︎

さっきの出来事が鮮明に蘇る。


…思い出すだけで顔から湯気が出る。


「…なんで、こんなにドキドキしてるんだろ…私」

火照った頬を手で触る。

やっぱり熱い…。


「ねえねえー、君大丈夫?」

「大丈夫じゃないです」

「何か冷やす物持ってこようかー?」

「あ、ありがとうございますー…って、あなた誰ですか?」

今更気づいたことだけど…。

さっきから私の隣にいるこのフードを深く被った人は誰?


ーカチッ

私はすぐそばにあった電気のスイッチを押した。

部屋が明るくなり隣にいた人物が見えるようになった。

フードを深く被りすぎてて顔はよく見えないけど、やっぱりその人物はやはり私知っている人ではなかった。

「……誰ですか?」

「僕?」

あなた以外に誰がいると言うのですか。

「僕はエル。エル=アルヴァーン……って、この名前好きじゃないんだけど」

エルという名前の青年は、ソファーに腰を掛けてからだるそうにそう言った。


「あ、ご丁寧にどうも…」

私は少し頭を下げる。

「………」

「もしかしてー、勝手に家に入ったから怒ってたりする?」


「えっ?…別に怒ったりは…「もし怒ってるなら、僕じゃなくてあいつらに怒ってよねー」


エルはそう言って私の寝室の方を指差した。

えっ、あいつらってー…。

ーガチャ

私の疑問とほぼ同時に寝室のドアが開き見覚えのある整った顔の青年とエル同様フードを被った人が出てきた。



黒髪の青年がこちらに向かって歩いてくる。

「先ほどは大変失礼しました」


黒髪の青年は近くまで来ると私の右手をとり手の甲に軽くキスをした。

「………‼︎‼︎‼︎‼︎⁉︎」

私は驚きのあまり少し後ずさりをしてしまった。

「僕は、セレ=アルヴァーンと言います。先ほどは、僕の理性がぶっ飛んでしまいあなたにあんなことを…本当に申し訳ありませんでした」

…今、サラッと凄いこと言ったよねこの人。

「…セレ…そんなこと言ったらこの人が怖がるでしょ…って、遅かった」

フードを被った人がセレと私を遠ざける。

「…大丈夫……?」

フードの人が私の顔を覗き込んでくる。

「……あっ、はい。ありがとう…ございます」

お礼を言うも「別に…」と素っ気なく言われてしまった。


「突然、お邪魔してすいません。僕達があなたに会いにきた理由はー…「あんたのおばさんからあんたに手紙を渡して欲しーって言われたからきたの」

セレの横からエルが顔を出してセレの言葉を遮った。

え?

おばあちゃんから頼まれた?

「これです」

ーカサッ

セレの手にはおばあちゃんの字で[レイラへ]と書かれた手紙があった。

私は手紙を手に取り読み始める。


レイラへ

この手紙を読んでいるってことは、彼らと会っているんでしょうね。
彼らは、おばあちゃんの古い古い友人のお孫さんです。
少し変わっていますが優しい子達です。
突然で悪いのですが、彼らと一緒に暮らして下さい。
理由はまた後できちんと話します。

おばあちゃんより






……………………はい?




…待って。

急すぎて頭がついていかない。



「この人達と一緒に…暮らす?」

今日、初めて会ったこの人達と一緒に住む?


住むって…ここに?
「ここ以外にどこに住むというんですか(ニコッ」


…ご飯とかお金とかは?
「あー、それなら全然問題ないよー」


それよりも1番問題なのは……女1人で大丈夫なのかということだ。
「………あんた、一応女か」


……………。


「てか、人の思考の中に入ってこないでください‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」


私は近くにあったテーブルを叩く。

エルが「こわー」と言って苦笑いをしている。



急いでなにか言い訳を考えないとー…。

「まあ…拒否権はありませんね(ニコッ」

「そうだねー、おばさんの許可も得てることだしー」

「……俺ら、他に行くところ…ないし」

…………え?


「僕ねー、ベットがいいなー」


「僕は、彼女と一緒ならどこでも…「そんなこと…許すはずないでしょ」

3人は勝手に話を進め始める。


「あ、僕の理性があるうちは襲いませんのでご安心を(ニコッ」

死んでも理性を保って下さい。


「……女とか興味、ない…」

あーそーですか。


「まあ、もし襲っちゃったらゴメンねー?」

そんな疑問形で謝らないで頂きたい。


「……………」


これは…絶対に無理とか言えない状況だ…。


私はもう諦めることにした。






………さよなら今までの平凡な生活。


私の平凡な日常はこうして終わりを告げたのだった。