『なんで?』


口から零れた声は
あまりにも小さくて
誰にも聞かれることなく
空気に吸い込まれて消えた。


私はその場から
急いで離れた。


拓がお金持ちなのは
知っていたし、将来は
お父さんの会社を
継がなきゃいけないことは
薄々解っていたんだもの。