「…そうなんですよ！依頼人が来ないんですよ！！」
するといきなり古風な口調の少女の向かい側のソファに座っていた綺麗な銀色の髪…いや、白髪にも見える…を長くのばし、それを後ろの低い位置で一つにくくっている青年ががばっ、と立ち上がると、いきなりそう言った。

「依頼人が来ないと依頼が入ってこない、依頼が入ってこないと私の仕事…つまり死体処理の仕事も来ない！死体処理の仕事が来ないと死体をいじれない！死体をいじられないということは…」
「五月蝿い変態。」
銀髪の青年の隣に座っていた、左目に眼帯をした13,4くらいの少年が銀髪の青年の言葉を遮るように口を開いた。…いや、実際遮ったのだが。

そして、手に持っていた本で思い切り銀髪の青年の頭を…殴った。
ごつり、と音がする。…痛そうだ。
すると銀髪の青年はその場に崩れるように倒れた。…よっぽど強く殴られたのだろう。
そしてこんな『人が（本で）殴られて倒れる』だなんて少し変わった…いや、かなり、だろうか…そんな状況の中で動揺する者や銀髪の青年を心配する者がいないあたり、きっとこれくらい日常茶飯事なのだろう。
なんというか…なんてデンジャラスな日々を送っているのだろうか。
そして眼帯の少年は何事も無かったようにまた本を読み始めた。