「どうしたの?」


声をかけられて、顔を上げると、着替え終わって水着姿のあいりちゃんが私を見下ろしていた。


急にうずくまった私を、心配そうに眉をよせて見ている。


周りを見てみると、もうすでに皆着替え終わっていて、更衣室を出ていっている。


うっ…さっき大丈夫って言っちゃったしな…


このままだとあいりちゃんまで授業に遅れちゃう…


「へーきへーき!後からすぐ行くから、先に行ってて!!」


「え、でも…」


「すぐ行くから!!ね?」

「分かった、待ってるね」

あいりちゃんが更衣室から出ていくのを見送ると、立ち上がり、制服の裾に手をかけた。


早く着替えないと。


すぐ行くって言っちゃったしね。


ずきずきと痛む左手に気を取られながらも、制服を脱ぎ、スカートのファスナーに手をかけると、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。


あいりちゃんかな?


忘れ物かな?それともやっぱり心配して戻って来てくれたとか?


ノックなんてしなくていいのに。あいりちゃんは律儀だなぁ(笑)


「あいりちゃん?ノックなんてしなくていいよ。」


私がそう言うとガチャッと音を立てて開いた扉。


外の日射しが暗い室内に入ってくる。


「あいりちゃん、どうしー…」