「はーい、今日の体育は水泳でーす!皆水着に着替えてプールに集合してくれ」

始まりました、一時間目。

やけにテンションの高い体育の教科担任・佐藤先生(♂)は掛け声をつけながら、ストレッチをしている。

あのぉー、一ついいですかね?


今…5月ですよ?


いやいや、昨日プール用具を持ってきてくれっていわれたから、まさかとは思ったけどさぁ!?!?


え、5月だよ??寒くね??


とかいいつつもプール用具を持って、あいりちゃんと更衣室へ向かう。


「仕方ないよ、あの先生、基本的に自由だもん」


あいりちゃんによると…


あいりちゃんには5つ上のお兄さんがいて、何やら昔、朝の会でいきなり「富士山に登るぞ!」とかいいだしたこともあるらしい。


それに比べれば5月のプールなんてまだいい方なのだとか。


そりゃ富士山と比べればね…


更衣室に入ると、独特の湿気や匂いが充満していた。

もう皆すでに着替え始めている。


私も制服のリボンをほどき、脱ごうとしたその瞬間。

「ぃっ…」


左手に激痛がはしり、思わず顔をしかめた。


もしかして…


さっき女の子に突き飛ばされた時、変な風に手首が曲がったせいかもしれない。