そんなことを思いながら扉の引き戸に手をかけた。


「おはー…」


扉を開けた瞬間ー…


「きゃーーっ凪斗君、おはよーー」


「あー、遅いよぉ凪斗くぅん」


女子たちの黄色い声と共に、ドンッという鈍い音が教室中に響き渡った。


「ふぎゃっ」


ちなみにドンッというのは、女の子の1人に突き飛ばされた音だ。


あまりに突然のことに私は、床にしりもちをついた。

反動で、ぐぎっと手首が変な方向に曲がってしまった。


私を突き飛ばした、女の子は私の隣にいた凪斗の腕に自分の腕を絡み付け、こっちを見て一瞬にやりと微笑んだ。


「…」


私は無言ですくっと立ち上がり、平然とした態度で自分の席へ向かった。


私の席は窓際の一番後ろの席。


…そして隣は凪斗の席。


私は席につき、窓の外を眺めた。


残念なことにあんな嫌がらせにはすっかり慣れてしまった。