とまあ、呆然と突っ立っていても何も始まらない。

だからと言って、何かできるのかと言われれば何もできないに決まっている。やれることなんて祈るくらいだろう。

トーストにイチゴジャムを付け、新聞を開く。

芸能欄やスポーツ欄でも見ようかと思ったが、さすが世界滅亡七日前。どこにもびっしりと世界終了の事しか書かれていない。

「つまんねーの」

そう言って、私はその新聞をゴミ箱に雑に突っ込んだ。

そのまま立ち上がり、コンビニに行く準備をし始める。

「いちごミルクあるかなぁ」



コンビニには当然かもしれないが客は無く、店員が死んだ魚の目で「いらっしゃいませ」と言ってくれた。

店員が泣きそうな顔すぎて、目当てのいちごミルクを買うだけでは飽き足らずエクレアまで買ってしまった。

世界の最後まで、きっとあの店員はあんな顔でここの接客を続けるのだろう。

「お願いします」

「...382円になります」

小銭が出払っていたので、千円札を差し出す。

店員はそれを受け取り、レジを淡々と打ってお釣りを差し出した。

「お釣りの618円です」

「あ、はい」

「ありがとうございました」

...言わなくてもお釣りくらいわかりますよ。

私はコンビニの袋を下げ、コンビニを後にしたのだった。