偶然、いじめの現場を見かけた先生が怒っていじめは終わった。だが遅かった。
美音の顔からは笑顔が消えていた。それから地味になったりした。美音は決して死のうとはしなかった。なぜなら亡くなったお父さんとの約束があったからだ。
『お父さんが死んでも、美音の子供を見せてくれ』この約束を守る事だけが唯一の生きるためだった。
2年生になってからは登校拒否をし、さらに人間不信になった。何とか立ち直って3年生になったら来るようになった。

「だから、あの子に刃物を近付けちゃいけない。美音のお母さんはできるだけ刃物を見せてはいないの。それに何があっても『友達だから』なんて言葉は使っちゃいけない。あの時、あたしが助けてあげてたら…だから今はずっと美音といるの」
莉央の目にたくさんの涙が溢れていた。
「でも、なんでそれをおれに?」
「だって美音の事、好きなんでしょ?超、わかりやすいよ。それに美音も真くんの事結構、心を開いてるみたいだし。だからお願い。美音の心の扉を完全にあけて」
驚いたな。俺が美音の事、好きだなんてわかってただなんて。
さすがだよ。そんな莉央の頼み事、聞けないわけないだろ。
「分かった。約束する。美音の心の扉を開けてみせる」
「ありがとう…ありがとう…」
「泣くなって。莉央らしくないぞ」
「うん…そうだね。あたしも頑張らなくちゃ」
この時、俺は強く誓った。必ず美音の心の扉を開けると。