狼は白雪姫がお好き

「そのとおり」

優紀くんは頷いた。

「今日地元で縁日してて、うちのジーサンが実行委員してんだよ。で、そのおすそ分けっつーのかな、そんなやつ貰ってきた」

「おじいさんすごいね!縁日かあ・・・楽しいだろうな」


幼い頃は夏になると、近くの神社で夏祭りが行われた。

毎年浴衣を着ては綿菓子を親にねだったものである。

しかし引っ越しで都会に来てからは、祭り事とは無縁の生活になってしまった。



「行きたいなー・・・」

そうぼそりと呟くと、優紀くんは意地悪くにやりと笑った。

「残念だったな、今日は午前中で終わりだ」

「なっ、早く言ってよおおお!」

ちょっと期待したのに!ちくしょう!むすっと頬を膨らませる。

と、優紀くんは吹き出した。

クスクス笑いながら一つのりんご飴を手に取ると、包装を剥がして私に向けた。