―――南視点―――


ひよが攫われた。何処の輩かわからないやつに。


どうやらこの近くの倉庫に捕まっているらしい。

まだ普通に話せる事を考えれば、手は出されていないだろう。


「...葵さん」

「...ねぇ、ひぃちゃんに何かあったの」

「葵さん、今は話している時間がねぇ。あいつはぜってぇ俺が助けるから、ひとりで行かせろ。...止めんなよ」

「...あとでお説教だからね」


俺は葵さんの言葉も聞きかず店を出た。




「...若いっていいなぁ。...ひぃちゃんに怪我の一つでもさせたらうちの道場のやつら黙ってないだろうなぁ。


...俺もだけどね」