…島野が好きなはずなのに、心が揺れているなんて。
自分でも信じたくないよ。
「…花風さん?」
後ろから聞こえてきた、愛しい声。
「しま、の……?」
振り返ろうと思ったけど、今自分がひどい顔をしていることに気づいてやめた。
後ろからは、声はない。
………けど、島野、息切れしてる?
「…はぁ、はぁ、なんで急に電話切ったわけ?」
「べ、別に…なんでもないよ」
いつも無関心なくせに
私の少しの変化に気付いて心配してくれる島野は、ずるい。
「なんでもないわけないでしょ
わからないとでも思ってるの?」
そんな優しくしないでよ。
嫌な自分も、全部、全部
受け止めてもらいたくなる。
愛しくて愛しくて、抱きつきたくなる。

