「~っ!」
蒲原さんに圧倒されたのか、見られたのがまずかったのか、植野さんは走って遠くへと消えていった。
「あ、あの…」
「もう、大丈夫?あーいうときはちゃんと抵抗しないと余計に調子づくだけよ」
蒲原さんは優しく手をさしのべてくれた。
「あ、ありがとうっ…」
「ん」
蒲原さんはさっきの雰囲気とはうってかわって、すっごく優しい表情。
こんな顔もするんだ……。
でも、どうして…
「あ、あの、蒲原さん」
「なぁに?」
「どうして助けてくれたの…?
蒲原さんも、植野さんと同じ気持ちなんじゃないの…?」
そりゃあそうだよ。
だって、島野をとられた、って思ってるはずでしょ?