それからあたし達は別れた。

アーテを呼び出し、白い異空間に入る。



…気のせいか、アーテの顔色が悪い。



「どうしたの?アーテ。具合悪い…?」

あたしが言うと、アーテは少し笑って見せた。

「ご心配ありがとうございます、道香様。ちょっと、気分がすぐれないだけですので、大丈夫です。」


「そう…」と、適当に答えたけれど、何より気になったのはアーテの表情。

今にも泣き出しそうな、切ない横顔で、見てるこっちも辛くなる。

これで、気分がすぐれないだけ?

…絶対違うよね……。


アーテが自分から、その“理由”を、話してくれたら、あたしはそれを全力で聞こう。

それが、あたしがアーテにしてあげられる事。

それからは、沈黙ばかり流れた。

「…聞かないのですか……。道香様も分かっておられますよね?私の顔色の原因が、気分がすぐれないだけでは無いという事を…」

アーテの声に、はっとする。
アーテは、あたしに聞かれる事が迷惑ではないのだろうか。

嫌では、ないのだろうか……。

「…うん。でも、アーテが話してくれるまで、待つから。」

そう言うと、アーテは優しく微笑んだ。


「では、明日…。お話致しましょう。」


そう言ったアーテの、何とも言えない切なそうな顔を最後に、


あたしは目を閉じて、元の世界に戻った。

戻ってからは…。

美味しいご飯も、綺麗な風景も

あたしには、何も響かないまま



深い、眠りについた…。