あたし達の他には、誰もいない…


…と、思われる。


やけに静かすぎて耳が痛いほどだが…


ここの放送室にあの司会者がいなければ、おかしい。

まぁ、別の場所にあるというのなら、別だけど。


「…まだ…誰も居ないね……」

明日美が、消え入りそうな声で呟く。
途端に、伊織が泣き出した。

「……今日はさ…、誰も…殺されないよね…?血を…ッ…もう、今日は…見る事は無いんだよね……?」


さっき見た…男子生徒のことが、余程苦しかったのだろう、涙を次から次に、ぼろぼろとながしていく。

その背中を、あたしと明日美がさする。


伊織も、きっとわかってる。

あたし達が返答できない事くらい。

…何も、分からないから……


あたし達は、なんて非力なのだろう。

そして、これを何度思った事だろう。


明日から…


このゲームの事を調べるけれど……


あたしには、あたし達には

拭いきれない不安と、焦りが


身体と心に、重くのし掛かっていた。