「じゃあ、これで。首取りゲームは終わるわ。記憶も…全てなくなる。……本当に、ありがとう。じゃあ…さようなら。…解散っ」




お母さんが、そう叫んだ。
途端に、この空間がグラグラ揺れ出す。

…首取りゲームの記憶…
なくなって…しまうの?



「…伊織!ありがとう、本当に。大切なことに…、気づかせてくれて…___。青斗も、きっと。空から応援してくれてる。…だから。精一杯生きてっ…」



あたしは、伊織に、最後のメッセージを伝えた。

もう、首取りゲームの事を忘れるのなら…。

会う事は、なくなってしまうから。
メッセージも、忘れてしまうだろう。

でも今、精一杯の気持ちを、伝えたかったんだ。


段々酷くなる揺れの中で、あたしは伊織に手を振った。


「道香っ!ありがとう!…ずっと…友達だから!」


伊織も明るく手を振りかえしてくれた。
その頬にはもう涙はない。

それは、あたしも同じ。


もう、泣かない。

最後くらい、笑顔で。


伊織は、ドームから、姿を消した。


明日美も、伊織に笑顔を向けて。
手をそっと、振っていた。