しばらく歩くと、高校に着いた。

そういえば、この高校で、「おはよう」って、言われた事がなかったよね。

挨拶を交わす程度でもいいから、友達くらい、作れば良かったな。

かすかな寂しさと虚しさを、胸にそっと閉じ込めた。


つまらない授業は、刻々と過ぎて行く。
同時に、首取りゲームの時間も迫っているのだ。


「すみません。ちょっと、気分が悪いので保健室に行って来ていいですか?」

「…あっ、あぁ…。ええ、いいわよ。大丈夫?」

「はい、大丈夫です。」



あたしが初めて、許可を得てから授業を抜ける事に驚いたのか、言葉を詰まらせた数学の先生。



この人から学んだ事って何だったんだろ。

静かな廊下を、一人で歩く。



何度も歩いた筈なのに、随分新鮮に感じて、ちょっと不思議な気分だった。



やがて、保健室に着く。



…首取りゲームまで、あと2分…