「いってらっしゃい。」
…お父さん、今までありがとね。
こんなあたしでも、大切に育ててくれて。
「道香。…いよいよ、最後ね。巻き込んでしまって、本当に…。ごめんなさいね…___」
あたしは、ううん、と笑って首を横に振る。
「じゃあ、学校…。行ってくるね」
昨日帰国して来て、早くも学校へ。
お母さんは、休んでもいいと言ってくれたけど、なんだか今日は、行きたい気分。
「行ってらっしゃい。…道香。」
お母さんは、泣き笑いをその顔に浮かべていた。
あたしの考えてる事、分かってるのかな。
あとから穂乃さんに聞いたのは、生贄は、“優勝者”の中からじゃないと無駄だという事だった。
お母さんは、分かったのかな…。
あたしは僅かに微笑んで、学校に向かった。
冷えた空気は、室内で温まったあたしの体を一気に冷ます。
マフラーを鼻まで上げて、手袋をした。
……寒い。
ふと、そこで考えた。
あの世は、寒いのかな、なんて。
死んだら、どうなっちゃうのかな、って。
…まぁ、もう
この際、どうでもいいか。