三回戦が、そろそろ始まる。
皆に、水川穂乃…、穂乃さんの事を話しておいた。
生贄の事だけは…
伏せておいて。
そして、広也と部屋へ向かう。
「なぁ、道香。…あのさ。」
「ん?どしたの?」
珍しく、「いや…その…」と、言葉を濁らせる広也。
こんな場面でも、可愛い、とか思ってしまうあたしは、本当に広也が好きなんだって実感する。
…首取りゲームが終わったら。
あたしは広也の事を忘れようと思う。
まず、あたしは…
この世からいなくなるから。
“初恋”という綺麗な思い出で、
とっておきたい。
「俺さ。…いや、やっぱ何でもねぇ。」
「そうなの?じゃあ、三回戦!一緒に頑張ろうね!」
…結局、何だったのかな。
まぁ…今は、忘れよう。
三回戦に、集中しなきゃね。
部屋の扉の前に来て、気を持ち直す。
大丈夫、きっといける。
あたしは、広也と顔を見合わせて、
部屋の中に入った。
もう、中にはあたし達以外のメンバーが揃っている。
黙って席に座り、テストを受けた。