伊織のか細い声が聞こえた。
たけど、それからその声が続く事はなく、喋るのを躊躇っているように思えた。


…謝ろう。


ふと、そう思った時には、もう言葉がでてきていた。


「伊織。…ごめんね。あたし…あたしの所為で……。」


あたしが言うと、伊織は驚いた様に顔を上げた。涙が一筋、伊織の大きな目から流れていた。



「……道香っ……。ごめん……。ごめんなさっ…いっ…。あんな事…、しちゃいけなかった。あんな事、しても青斗は喜ばない。…本当に、ごめん……ごめんねっ…____。」


嗚咽を零しながら、途切れ途切れに、必死に話す伊織。


その姿を見ると胸が痛くなって、思わず伊織を抱き締めた。


「…もう、大丈夫だから。…青斗の為にも…、頑張ろ?」


伊織は、あたしや広也、明日美を見て、涙を一層流し、何度も何度も頷いた。




…大丈夫。
皆で優勝しよう。

絶対に。


最初は賞金目当てだった。

でも、こんなに大切な仲間に出逢えて。




あたしは、“最後”まで、
全力で生きて、

皆を

全力で信じようと思う。