「…があぁぁぁぁあ"っ!!!」



突如、伊織が、叫び声をあげた。
叫び声というよりは、雄叫びに近い。
悲しげな、掠れた声。


「道香ぁぁぁぁっ!!!」


伊織が、あたしの目の前に走ってくる。
大きな目を充血させ、見開きにして。
手からは血が出ていた。


「テメェの所為だ!!!テメェなんかいなかったら、青斗はっ!!死ななかったんだよ!ふざけんなよ!?」


…え?


い、おり…____?


「テメェが青斗から、命を奪ったんだよ!私から、青斗を…奪ったんだよ!」


伊織があたしの首を絞める。
だんだんと、酸素がなくなって…、


「ぐ…、苦ッ……しいっ!!!」

「あぁ?青斗の苦しみ、こんなもんじゃねーだろ!?」

「離してっ!!ねぇ、道香を離してよぉぉっ!!死んじゃうよ!!」


明日美が、伊織に叫ぶ。
あたしだって、できることなら声を張り上げたい。

…でも、声を出す酸素もない。

周りは黙って、事の成り行きを見ているだけ。

広也は、伊織に取り掛かろうとするけど。


伊織…

まるで、人が変わったみたい。


優しかった微笑みも…、



今の伊織からは、


微塵も感じられないよ?