「道香!?どうしたのよ、その目!」


目覚めたお母さんが、あたしの目を見て驚く。

“首取りゲームの事で泣いたんだ”
“過去を思い出して”

…どれも、何か追求されそうで嫌だ。


「怖い夢見ちゃって…、大丈夫だよ」

「そう。…道香、最近あなた勉強してる?旅行になってから一度もしてないでしょう?あなたは一位しか取らない人間なの、わかる?」


“一位しか取らない人間”…?

なに、それ…___

あたしは、一位しか取るなって事?


「…お母さんにはわかんないじゃん。」


怒りに任せ、部屋から出ようと、玄関に向かう。

今は九時半。
もう、首取りゲームが終わるまで、外にいよう。


扉を乱暴に開ける。


「ちょっ…、道香!待ちなさい!」

という声を背中で聞いて、それを無視し、部屋から出た。

ホテルからも出て行き、外に行く。



ひんやりと冷たい空気を、肌で感じた。