そのはじまりは、先生の一言。


フルートの音を出している時。


優香は、調子が悪いのか音を外す。


それが何度も何度も、何日も何日も続いた。


それを見兼ねた先生が。


“「高野さんはこんなに上手くできているのに、あなたはどうしてできないの?こんなんじゃ、後輩にも指導なんてできたもんじゃないわね。」”


…と、言ったのだ。



あたしは、かなり焦った。

優香は自分のフルートに自信を持っていたし、先生の事が大好きだったのだ。


しかも、優香はあたしより上手いから、いつもあたしにフルートを教えてくれていた。


それに加えて…、
優香は、プライドが人一倍高い。





…優香にとって、この時からあたしは、邪魔な人だったんじゃないのかな…。


勉強も、どちらかというとあたしの方が少し上。

友達も、あたしの方が沢山いた。



だからこそ、あたしより上の実力を持つフルートに自信を持っていたのだ。