夕方。仕事を大方終えた私は、すぐ近くの取引先に向かい、

そのまま直帰するべく、鞄を持ち立ち上がった。


「おい、どこに行くんだ?」

「・・・え?」

私を呼び止めたのは、他でもない隆盛で。


「…今からすぐ近くの取引先に行って、在庫確認して、

そのまま直帰しようと思って」


「…取引先に行くときは、オレもついて行くと言ってただろ?」

隆盛はちょっと不機嫌そうに呟いた。


「大丈夫よ、ここの担当は女子社員だし、私もよく知ってる人だから。

…それに、隆盛、自分のデスク見なさいよ、山のような仕事が

まだまだ残ってるんだから、私の事は放っておいて、仕事して」

そう言って微笑むと、隆盛は渋々それに頷いた。


・・・やれやれ。

私は黒板に、外回り、直帰と書き、オフィスを後にした。


…会社から、徒歩10分。

取引先に着いた。

そして、担当者と共に、倉庫へと向かう。



「…もう少しで、在庫が切れそうですね。

2,3日うちに、商品が来るように、手配しておきますね」


「ありがとう、いつもちゃんと在庫確認や発注までかけてくれて、

本当に助かるわ。ここまでしてくれる取引先、なかなかないから」

そう言って微笑む担当者。