「本当にすみません…でも、こんな真夜中に

部長がいるんですよ?!ビックリするじゃないですか?」

私は言い訳をしつつ痛そうな顔に手を伸ばした。

…ギュ。


・・・その手は、顔に触れる事は出来なかった。

だって、部長の手が、その手を握りしめたから。


「宮本部長?」

「…あれ程荻田と一緒に行動しろと言ってたのに。

人の忠告も聞かないで・・・」

そう言った部長の顔は明らかに怒っていて。

…私はその目から逃れたくて、目線を逸らした。


「…すみません」

言えたのは、その言葉だけだった。


「ホントにお前ってヤツは」

「み?!」

それはそれは、強く、強く・・・

苦しいくらいに抱きしめられて、成す術がなかった。


「お前を怖い目に合わせるくらいなら、

一緒に北海道に連れて行くべきだった」


「・・・何言ってるんですか?」

…心臓が凄くうるさい・・・・。