「三條さん、今は仕事中です。私情は挟まないでください」

「誰だ、きさまは?」

突き飛ばされ、怒りを露わにする三條さん。

私は足が震えていた。


「営業課長の荻田隆盛と言います。部長の代理で、こちらに来ました。

…今後、私情を挟むようでしたら、担当は代えさせていただきます。

坂口は大事なうちの社員ですから」


…きっとこの場面を見たら、誰もが隆盛をカッコいいと、思うだろう。

…きっと恋に落ちること間違いなしだろう。

・・・でも。


会社を出た私と隆盛は、人気の少ない場所にいた。

「バカ今日子!あれほど言っただろ?営業の時は、

オレと一緒に行けって」


「・・・ごめんなさい」

安心感からか、私はずっと泣いていた。


「…泣いてんじゃねえよ」

溜息をついた隆盛は、私をしっかりと抱きしめた。


「ゴメン・・ね」

「ったく。助けに行ったのに、助けを呼んだ名前が、宮本部長とか

ありえねえ」

「・・・・」

私も驚いてるんだよ・・・何で宮本部長の名前が出たのか。