「さ、三條さん…離して・・・くだ、さい」

片言で、必死に訴える。


「二人きりになれたらなんて、何度も考えたよ」

「・・・・」

片手は抱きしめたまま、もう片方の手で、私の頭を撫でる。

…気持ち悪い。

背中に冷や汗が流れる。

…今まで三條さんにこんな気持ちを抱いたことはなかったんだけど。



「今日だけかもしれないと思ったら、こうせずにはいられなかったよ」

「離・・して」

だんだん怖くなってきて、潤み始める目。

私は必死に離してと訴えた。


「オレと、付き合ってくれるなら、離してもいいけど?」

「・・・それは」

嫌に決まっている。…私は…。


「…どうする?…このままキスしてもいいけど?」

「…ゃ・・・いや!離して…瀬名助けて!」

バタン!その声と同時に、部屋のドアが開いた。

・・・そこに立っていたのは、宮本瀬名ではなかった。


「隆・・・盛」

溜まった涙が流れた途端。

隆盛は、顔色を変えて、私たちの前に来ると、

私の体を引き寄せると同時に、三條さんを突き飛ばした。