…次の日。

宮本部長は本当に北海道に出張に行った。

私はというと、隆盛の目を盗んでは、一人で営業に行き、

しっかりと仕事をこなしていた。

…私を狙う輩なんて、どこにもいないじゃない。


そんな事を思いながら、とある会社に営業に向かった。

この会社は深山と大変な思いをしてとった取引先。

だから、特に大事にしていきたい会社だった。


「坂口さん、よく来たね?」

年上の落ち着いた男性社員が、ここの担当。


「お久しぶりです。社の商品の使い心地はいかがですか?」

「うん、凄くイイよ…でもね?ちょっと、ここが分からないんだけど」


「ここですか?・・・ああ、これはですね」

私は笑顔で商品の説明をしていた。

…数分後。その説明が終わった時だった。


「今日は坂口さん一人なんだね?」

「?…はい、今後、深山は担当を外れ、私と、宮本部長の二人になりますので。

あいにく、部長は急な出張で、後日改めてお伺いしますと、部長から伝言を預かっています」


「そうか、じゃあ、楽しみにしておくよ」

「それでは私はこの辺で・・・・三篠さん?!」

2人きりの部屋の中、担当の三條さんは、突然私を抱き寄せた。

私は驚きのあまり、体を硬直させ、身動きが取れない。