「坂口に気がある君に、任せるのは本当に不本意ではあるが」

そう言った宮本部長は、隆盛を真っ直ぐに見つめた。


「何を任せるんですか?」

隆盛は怪訝な顔をして、宮本部長を見た。


「明日から一週間、出張で北海道に行く」

「…北海道ですか、それはまた遠いですね」


「坂口の営業のサポートを任せられるのは君しかいない」

「…その間に、今日子を奪ってもいいんですね?」

そう言ってニコッと笑った隆盛に、宮本部長は平然と答えた。


「坂口はお前に気はない。だから安心して任せるんだ。

それに、お前が傍にいる方が、周りの男の視線からも坂口は守れる」


「今日子のお守り役ってところですか」

「・・・そんなところだ」


…二人の会話を黙って聞いていたけど、

2人とも、私の気持ちなんてちっとも考えていないんじゃないか?

そう思うとなんだか苛立ちを覚えた。


「…部長、隆盛、私は一人で大丈夫です。

何年営業をやってきたと思ってるんですか?

2人とも私の事は気にせず、仕事に集中してください」

「「それだからお前はダメなんだ」」

「・・・・・・」

私の言葉に反論した二人。

驚いて、返す言葉もない。