タクシーは、荻田のマンションについた。
俺は、部屋のドアの前に立つと、深呼吸して、インターホンを押した。

すると、間もなくして、ドアが開いた。

「…遅いですよ、部長」

「…悪い、…今日子は?」


「泣き疲れて寝ちゃいましたよ」
そう言って溜息をついた荻田。

「…そうか」

「…オレ、少しでますから、今日子とちゃんと話してください。

…部長、これ以上、今日子を辛い目に合わせないでください。

…部長だから、諦めたんです。あいつが部長の話してる時、本当に幸せそうな顔するから。こんな顔、俺にはさせてやれないなって思ったから。

でも、またこんな事がおきたら、もう絶対、今日子を俺のモノにしますから」

そう言うと、荻田は外に出て行った。