「あれは、峰子さんが勝手に言ってるだけだ」


「勝手にったって、私たちにそんな事、

わざわざ言うと思いますか?…実際に進んでる話しだから、

私達に言ったんでしょう?」


少しずつ声は震えはじめていた。

…これ以上言葉を発してしまえば、泣いてしまいそうだった。


「・・・!!」

「これでも、…信じてもらえないか?」

突然目の前に小さな宝石箱を突き付けた部長。

私は驚いて目をパチクリさせる。


「口約束はしたけど、大事な物は渡してなかったと思って」

「…大事な、物?」

小さな声で呟けば、部長は優しく微笑み頷いた。


「向こうで、時間を見つけては探し回ってた。

今日子に似合う婚約指輪」


「ぶ・・・ちょう」


「こっちに仕事で帰れる時までに見つけて、今日子に渡そうって決めてた。

やっとその日が来たのに・・・こんな事になって」

そう言った部長は、私を引き寄せた。

・・・そしてギュッと抱きしめた。