で、どうしてこうなった……。

俺の目の前には高級そうなカップに入った紅茶。

俺はふかふかのソファーに座らされ、隣にはひよりが座っている。

コポポポ…とひよりの分の紅茶を淹れている音が、静かなリビングに大きく響いていた。

ひよりの親戚のおばさんが、ウキウキした気分でキッチンから出てくる。

優しそうな雰囲気の人だった。

ひよりの身勝手な行動により、俺はひよりの新居提供者及び彼氏、という設定でひよりの家にいる。

『ごめんなさいね、ひよりちゃんが突然彼氏なんか連れてきたからびっくりしちゃって。ケーキはお好き?』

『あ、いえ、御構い無く!』

緊張して、上手く舌が廻らない。

平静を装うだけでも一苦労だ。

ひよりはこんな優しそうな人にのけ者にされてるのか?

『はい、ひよりちゃんの紅茶』

おばさんがひよりに紅茶を手渡しし、ひよりはそれをお礼を言って受け取った。

おばさんもソファーに座り、ニコニコしながら俺を見てくる。

『で?今日は何か用事があってきたの?』

それを聞いて、俺はひよりをチラリと横見見る。

ひよりは下を向いていたが、決心したようにスカートの裾をグッと握った。