『私が中学2年のときだったの…。父が自殺したのは。

学校から帰ってきたらね、お父さんが床に倒れていて、手首から血を流していたの。

父子家庭だったから、お父さんいなくなって私は独りぼっちになった。

親戚の家に今は住んでいるんだけど、親戚の家はすごく私をのけ者にしてさぁ。

私のこといてもいないみたいに扱うんだよね。

今はそんなのもう慣れたけど』

帰り道が反対方向だったけれど、俺とひよりは近くの公園にいて、話していた。

『お父さんて臆病だったけど、優しくておもしろくて…大好きだったのに、なんで死んじゃったんだろうな…って、今でも思うの。

私が独りぼっちになることも考えなかったのかなぁ……。』

ひよりが言い終わったと思い、ちょっと温かいものでも買いにいこうと思ったら、まだ話は終わっていないようだった。

『久我くん!』

『はいぃっ!』

大声で名前を呼ばれたものだから、俺の声が裏返る。

『久我くん…あのね…』

涙目、上目遣いで見つめてくるって反則でしょ……。

『今いる家を出ていこうと思うの。それで、行くあてがないと親戚怒るから、久我くんの家に行くって嘘つかせてもらってもいいかなぁ?』

『はぁ?!』