out of memory

家に帰ると、やはり親父はいなかった。

あの喧嘩みたいなことをしてから、親父は一回も帰ってこない。

勿論母親もだ。

「はぁー……」

俺はバッグを置いてベッドにつっぷした。

『秋人のことが好きってことだよ!』

ひよりの声が脳の隅から隅まで響き渡る。

俺のことが好きって…いつからだよ?

そんなそぶり、あったけどなかったようなものだ。

俺以外にいるものだと本当は思っていたからだ。

むくっと起き上がり無意味に机を見ると、沖田美香からの手紙があった。

そういえば、今日沖田を丘の上に置いてきてしまったっけ。

考えてみれば、可哀想なことをした。せっかく勇気を出して告白してくれたのに。

確か手紙にメアドがあった気がする。メール、送ろうかな。

俺は手紙にあったメアドにメールを送った。

『今日はすいませんでした。返事ですが、ごめんなさい。 久我 秋人』

俺は何回か読み直して、送信した。

すると、10秒後にさっそく返信がきた。

勿論沖田からだ。

『まさかメールをくれるとは思ってなかったので、とても嬉しいです。私のワガママですが、今から会ってしっかり声で断って欲しいです。いいですか?』

案外図々しい奴だ。

まさか俺を呼び出してヤクザに俺を潰させる気か?

ちょっと怪しかったが、俺の良心がむくむくと動いて、気がつけば返信していた。

『わかりました。なかよし公園て知ってますか?今日の丘を下ってすぐのところです。そこに集まりましょう』