out of memory

心の中で怒りを必死にこらえていると、突然ぐいっと腕を引っ張られた。

「?!」

驚いて声も出ず、俺は引っ張られるがままに、坂を駆けおりていった。

腕を引っ張っている主はひよりだ。

前を向いたまま、転びそうな俺も見ないで俺の腕を引っ張りながら走っている。

坂の上に沖田を置いたまま、俺たちは坂を駆けおりていく。

「ひ、ひより?!」

「……」

黙ったまま、俺たちは坂を下りきって近くの公園まで入った。

「あ…」

ここもだ。ひよりに俺会ってひよりに彼氏役になるよう頼まれたあの公園。

また懐かしい場所に来てしまった。

手に加えられた力が一気に抜けて腕が軽くなる。

「ひより」

どうしたんだよ。て、言いたくて口を開いたら、ひよりに遮られた。

「なんで秋人は分かんないの…?」

「……は…?」

ひよりがボソッと呟いた一言に、俺は「?」を頭にいっぱいつける。

「そうか。秋人鈍いもんね、そりゃ分かんないか。ごめん」

ひよりはこっちを見ないまま、何気に酷いことを言う。

鈍いなんて言われたのは生まれて初めてなので、俺は少しピクリと体が動く。

「鈍いって…だいたいひよりも最近態度が変わって……」

「まだ分かんないの?!」

大きな声で怒声を浴びせられたので、俺は驚いて黙る。

ひよりはやっとこっちを向いて涙目で言った。

「秋人のことが好きってことだよ!」