俺、久我 秋人(くが あきひと)は、一ノ宮 ひより(いちのみや ひより)とよく一緒にいた。

別に幼なじみだとか、そーゆー深い付き合いじゃない。

“とある”ことがキッカケで、俺はひよりとかなり深い関係となった。

いや別にやましいことはないけど…。

俺は夏なのにYシャツを長袖にしている自分の袖をめくった。

赤くて荒い線が手首に多く刻まれている。

俺とひよりが生きた証と言っていいかもしれない。

『なに…してるの?久我くん……』

図書室で勉強していたときに、ひよりが覗いてきたんだ。

『一ノ宮…さん?』

そのとき俺たちは高校に入ってまだ1ヶ月だった。

俺は友達というものがどうもできなくて、その寂しさを紛らわすために、図書室で定期的に勉強していた。

でも、この世界に対する不満、色々なストレスを感じたら、俺はどうも我慢できないような奴だ。

ペンケースの中にあるカッターを、震える手で取り出す。

キリキリ…とゆっくり刃を出すと、手首を切りつける。

そんなことを毎日のように図書室で行っていた。