ひよりの様子がなんとなくおかしかった。

俺がラブレターを貰ったことを、まだ怒ってるんだろうか。

ていうかそもそも俺がラブレターを貰ったところで何でひよりが怒るんだよ。

そこらへんおかしいだろ。

なんてことを考えている間に、あと10分で授業が始まる時刻になった。

「おい、もうすぐ予鈴鳴るから席つけよ」

俺はそう言って、ひよりと中谷を自分の席から追い出した。

ひよりはご丁寧にクッキーのゴミを置いて。

すると、クラスの男子の一人が、俺に向かって言ってきた。

「久我ー。なんか女の子がお前呼んでるけど」

「女の子?」

ひよりを横目で見ると、頬をぷうっと膨らませて俺を見ている。

「なんだよ久我。浮気かよー」

中谷が後ろから冷やかしてきた。

俺はちょっと戸惑いながら重い足取りで廊下に出る。

そこには長いサラサラ髪の女の子が恥ずかしそうに立っていた。

髪ばっか見て俺髪フェチかよ。

「あー…何?」

優しい言葉をかけてやりたかったけど、女の子に告られたことは初めてなので、思わずぶっきらぼうに言ってしまう。

「あ、あの……私が久我くんの机に手紙入れたの、気づいた…?」

「え?あ、ああ…まあ…」

「私、あの差出人の沖田 美香です…」